ニュース

いわきの被害者が、森まさこ参院議員に陳情

お知らせ 制度・改善

 20代に石綿作業した渡邉正幸さんは石綿肺に罹患し、労災認定されましたが、給付基礎日額は20代の賃金から算定されています。

渡邉(わたなべ)正幸さんの体験談 – アスベスト患者と家族の会 連絡会

 20代に石綿にばく露しても、石綿疾病を発症するのが20代ということはあり得ませんから、20代の賃金にするのは不当です。

 渡邉夫妻らは2023年8月、いわきの森まさこ参院議員事務所に労災給付基礎日額の是正を陳情しました。

2027年度から「発病時賃金がばく露時賃金より高ければ、発病時賃金」の新制度

 連絡会の運動が実り、渡邉さんのような場合、20代の賃金ではなく、発病時の賃金から算定することになりました。(改正労災法の公布は、2026年7月17日)。

労災給付基礎日額の是正、当事者が総合的にとりくむ – アスベスト患者と家族の会 連絡会

 被災患者が受給する労災休業補償の日額については、労働保険審査会の裁決が(2025年4月18日)、新制度の遡及適用を認めています。

 妻の渡邉洋子さんは現在、遺族補償年金などの労災日額について審査請求しており、2027年度から始まる新制度の「発病時賃金」に是正しなければなりません。

 しかし、すでに労災遺族補償年金が決定されているかたへの「遡及適用」が問題です。

2026.7.22 森まさこ参院議員に陳情

 そこで、連絡会は地元いわきの洋子さん(ご子息・お孫さんも)を先頭に、森議員に陳情。

 現行法で遡及適用がむつかしい場合、石綿救済法厚生労働省関係を改正して救済することを要請しました。

 弁護士である森議員は、同じく弁護士である稲田朋美衆院議員と連携して、労災日額の見直しに取り組んでくださることになりました。

 なお、アスベスト被害の特殊性に着目した石綿救済法で、この問題を解決すべきであるという論拠は、以下のとおりです。

(1) 遺族補償の日額が「確定し、審査請求の期間は徒過していることから」、当初の日額決定について判断せず、審査請求を棄却した岐阜労災審査官の決定書があります(2025.1.6)。この場合、遺族が救済されません。

(2) 石綿救済法(厚生労働省関係)を改正して、「特別給付基礎日額」(仮称。新制度で見直し、差額を支給する)の新設を

(3) 来年6月までに、石綿救済法を見直すと法の附則に規定されています。

(4) 1970年4月28日に「遅発性疾病は、発症時の賃金で算定する」と国会答弁されたのに、そのようにはされませんでした。

(5) 尾辻厚生労働大臣が「アスベストの被害というのは時間が掛かって出てまいります。大変長い時間が掛かっておりますので、その証明に困難なことが多い、そのことはよく理解できます」として、十分に配慮して対応すると答弁したところ(参院厚生労働委員会2005年7月19日)、被災患者や遺族は闘病や労災認定に手いっぱいで、とても給付基礎日額の不服審査まで思い至らない。そういうアスベスト被害の特殊性があり、当時審査請求しなかったから仕方ない、というのは酷です。

(6) 労働政策審議会の建議のもとになる「労災保険制度の在り方に関する研究会」では、遅発性疾病の想定外・異質性を指摘する意見も出され(2025.2.21,7.29)、アスベスト被害の特殊性を考慮した日額の在り方が今ようやく整ったという事情もあります。 (「平均賃金決定通知書」に算定方法が記載されていない[日額決定の理由が、患者・家族に示されない]ので改善するようにと、行政不服審査会から7回も指摘されている問題もあります。) これまでアスベスト労災の日額については、2009年に労災特別加入者、2017年に再雇用などにおける不合理が是正されてきました。