2026.4.7労災法改正案を衆院に提出(給付基礎日額の見直しを含む)
「労働者災害補償保険法等の一部を改正する法律案要綱」については、労働政策審議会に対し諮問を行い、これを受け、3月4日に第128回労災保険部会で審議が行われ、おおむね妥当であるとの答申が行われました。
労災法改正案(閣法)
法案では、遺族(補償)年金、石綿救済法の特別遺族年金の対象について、男女平等にします。妻が被災労働者で・夫が遺族の場合、今まで夫が55歳以上か・障害の状態でないと年金が支給されませんでしたが、無条件で年金が支給されるようになります (夫が被災者で・妻が遺族の場合、今までも無条件で年金を支給)。
また、遺族が一人の場合の年金額を、現行給付基礎日額の153日分から、一律175日分に改めます(今までも55歳以上か・障害の状態にある妻は、175日分)。
さらに、休業補償請求などの時効が2年でしたが、石綿関連疾病や過労死等(疾病の性質上、労災に該当するか容易に判断できない疾病)は5年に延長します。
改正労災法の施行は、2027年度からを予定しています。
アスベストなど遅発性疾病の給付基礎日額に関する制度改正
労災法改正に合わせ、石綿ばく露作業などに従事した最後の事業場の賃金と・発症時の賃金を比較し、発症時の賃金のほうが高い場合は、発症時の賃金を用いることにします。
上記制度改正を議論した労災保険制度の在り方に関する研究会・労働政策審議会労災保険部会へ、連絡会はそれぞれ昨年2月・11月に要望を出しました。
石綿疾病は潜伏期間(10年以上)を経て発症するのに、20代で石綿ばく露事業場を離職した場合、20代の賃金にされるケースがあり、長年是正を要望していました。
二つの課題
①新基準(新制度)の遡及適用
不合理な労災給付基礎日額については、今回の新基準だけでなく、特別加入(長年建設労働者として石綿にばく露したのに、特別加入の低額にされる)や、再雇用(定年退職後に発病すると、再雇用の低額にされる)などについて、運動によって新基準を勝ち取ってきました。
休業補償を受給している患者については、後続の休業補償請求の日額で不服審査した場合、新基準で判断するという2025年4月18日の労働保険審査会の裁決があります。
また、休業補償の日額について旧基準で算定されても、遺族補償年金の日額については新基準で算定されることがあり、そうなれば過去の休業補償にも遡及適用するのが当然です。
遺族補償年金の日額について旧基準で算定されていても、患者も・家族も労災認定にこぎつけるまで手いっぱいで、給付基礎日額にまで思い及ばないことがあり、日額について不服審査しなかったのがいけない、というのはあまりに酷です。(まさに「石綿被害の特殊性」があり、石綿救済法で「年金給付基礎日額」について救済することが考えられます。)
②発症時自営の場合、賃金を各種統計で推認すること
上記研究会や・労政審労災保険部会では、「有害業務に従事した事業場を退職した後、就業していない期間に発症した場合」の日額の取扱いが課題とされました。このままだと、20代の低賃金が温存されてしまうからです。
発症時に自営の場合もそうで、労政審の労働者代表委員も指摘するように、「発症時に最終ばく露事業場で働いていたと見なして、その賃金を各種統計で推認していく方法もある」と考えられます(2025.11.12労災保険部会)。
