国立病院の「名ばかり管理職」、がん治療を阻害
『東洋経済ONLINE』11/25「がん治療の現場に異変、『医師不足で手術待ち数カ月』の恐怖シナリオ」という記事が載っています。そこに国立病院機構の或る病院の外科医が「名ばかり管理職であるため、夕方5時以降は無償労働だ。午後11時に回診を終え、翌早朝からの勤務に備える」とされます。
国立病院における名ばかり管理職問題にかんする質問主意書
このたび衆院環境委員長に就任した近藤昭一議員は、2022年4月にこの問題について、次のとおり質問主意書を出しています。
第208回国会 44 独立行政法人国立病院機構におけるいわゆる「名ばかり管理職」問題に関する質問主意書
独立行政法人国立病院機構の外科系診療部長が二〇一九年五月、宇部労働基準監督署に、自身は管理職に該当せず時間外労働等について労働基準法の適用がされるべき旨を申告したところ、二〇二一年六月同監督署は、申告人が「労働基準法の労働時間等に関する規定が適用されない『管理監督者』(同法第四十一条第二号)には該当しない」と判断した。
この問題は右記申告人にとどまらず、国立病院機構全体の問題と考えられる。更に、日本の医療界や社会全体の大きな問題であると考えられる。
・・・宇部労働基準監督署の二〇一九年九月の指導票には「今後において、時間外労働休日労働に関する協定届の適用、割増賃金の支払い、休憩時間の取得など、法に沿った管理を行う必要があります」と記載されている。また、右記申告人は「私が国立病院機構の職員であった二〇〇六年四月から二〇二〇年三月までは、タイムカードなどの労働時間の記録は全くなかった」とも指摘する。
しかし、厚生労働省は名ばかり管理職問題について前向きに取り組まず、冒頭記事の通りがん治療を阻害することになっています。
なお近藤議員は上記外科医について、2017年2月16日の衆議院総務委員会で「ここで、世界で最多の胸膜中皮腫例を手術している米国の病院で診療経験のある外科医の方が手術を行っているということであります。/具体的には、悪性胸膜中皮腫や肺がんに対する胸膜外肺の全摘出という手術、全摘をする術ということであります。また、悪性胸膜中皮腫に対する胸膜切除剥皮術という方法があるそうでありますが、これをハーバード大学の医学部で学んだ、こうした外科医の方がおられるわけであります」と指摘。公務災害で、全国からの中皮腫通院費の支給を認めさせました(労災も同様)。