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パブリックコメントを無視した『じん肺診査ハンドブック』改訂に抗議

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 2026年3月16日、連絡会は、厚生労働省がパブコメを無視して『じん肺診査ハンドブック』の改訂を強行したことに抗議しました。塩川鉄也衆院議員の中島秘書が同席。

労働政策審議会じん肺部会では、「パブコメ結果報告」のスケジュールを明記

 厚生労働省は2025.3.5と9.16のじん肺部会で「パブコメ結果報告・ハンドブックの内容確定」というスケジュールを明記していたにもかかわらず、2025.10.30~11.28におけるパブコメの結果を、2026.1.26のじん肺部会に報告せず、ハンドブックの内容確定を強行。

 ハンドブックの前の「じん肺標準エックス線写真集」の改定については、2025.7.28のじん肺部会にパブコメ結果を報告、結果公示案を示し、8.18結果を公示しました。

 2026.3.16の抗議に対し、厚労省は「パブコメの結果をじん肺部会に報告するほうが異例」と強弁。いまだに、パブコメの結果を公示していません。

 パブコメの募集に応じた意見の中には、2025.11.27付け 佐藤修二・柴田英治・田村昭彦・中野亮司・名取雄司・春田明郎・久永直見・平野敏夫・藤井正實(まさみ)・舟越光彦・細川誉至雄(よしお)・水嶋潔・毛利一平各医師連名の意見もありますが、このように石綿肺を多数診ている専門医の意見も踏みにじって、ハンドブックの改訂が強行されたのです。

 じん肺・石綿肺の合併症である続発性気管支炎は、「じん肺診査ハンドブック」に定めるたんの量・性状によって診断されます。この基準から逸脱した切り捨てが横行し、今まで反撃してきました。(下記参照)

じん肺(石綿肺)合併続発性気管支炎の切り捨てを許さない – アスベスト患者と家族の会 連絡会

 2010.1.22の中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会では、北海道中央労災病院の木村医師が報告。石綿肺の合併症が「不正受給」であるかのような印象操作がなされ、救済給付の指定疾病から合併症が排除されました。しかし、じん肺・合併症の8割は合併症であり、合併症の排除は石綿肺の排除です。

 2024~2024年度、ハンドブックの改訂案を含む「じん肺健康診断とじん肺管理区分決定の適切な実施に関する研究」の研究組織に、上記木村医師も入っています。

「ハンドブック改訂を、石綿肺の切り捨てに使わないよう」追及

 2025.5.7の衆院厚生労働委員会で、厚労大臣は続発性気管支炎の診断について、「総合的な医学的な判断で判定されることは従来とは変わりはございません」と答弁。

 9.16のじん肺部会で厚労省は、たんの好中球エラスターゼ値について「この検査結果が陰性であったとしても・・・この検査結果のみをもって、合併症の有無が機械的に判定されるものではなく、あくまで、総合的な医学的判断で判定することとする」と記載。

 また、同日に主任中央じん肺診査医は「先ほどのエラスターゼの検査と同じことになりますが、じん肺健康診断では単純エックス線写真で型を決めることになりますが、CT所見でなかったからといってじん肺がないのだと判断するのではなく、もしCT写真の中でじん肺の所見があった場合には参考として用いてよいということを、こちらで強調しております」と説明。

じん肺法は「管理4・合併症」罹患=労災療養

 ハンドブックにおける続発性気管支炎に関する検査として、たんの量・性状が規定されます。

 改訂前のハンドブックに「たんの量の区分が2 [3ml以上10ml未満]以上で、たんの性状の区分がP1~P3[粘膿(たん)1~3度]の状態が、1年のうち、3ヶ月以上毎日のように続く場合には続発性気管支炎に罹患していると判定し、治療の対象とする」とありましたが、改訂案では「治療の必要性は個別の判断となるため」という理由から「治療の対象とする」という文言が削除されました。

 しかし、じん肺法第23条に「じん肺管理区分が管理4と決定された者及び合併症にかかつていると認められる者は、療養を要するものとする」と規定され、罹患=療養です。

 2026.3.16に厚生労働省は、投薬などの治療が個別の判断というだけで、たんの量・性状によって続発性気管支炎と判定されたら、要療養=労災療養であることを認めました。

 たんの量・性状によって続発性気管支炎と判定されても、労災認定したくない、という思惑が感じられます。

 上記専門医も危惧する『じん肺診査ハンドブック』の改訂、被災労働者保護などの労働政策について審議する、公益・労働者代表・使用者代表からなる労働政策審議会に、パブリックコメントの結果を報告しないのは、民主主義に反します。

 私たち当事者の仲間同士助け合って、「石綿肺合併続発性気管支炎の切り捨て」を許さないとりくみが必要です。