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建設アスベスト給付金で、役所がいじわる?

お知らせ 制度・改善

 労災認定され、建設業で1970-2004年など屋内石綿暴露していれば、国の責任が認められ、建設アスベスト給付金が支給されます。

 建設アスベスト給付金の手続きでは、労災認定されている場合、あらかじめ労災情報提供の申請を行います。

 ところが、最近労災情報提供の回答で、「給付金の支給対象となる特定石綿ばく露建設業務に従事したことを確認できない」とされるケースが複数あります。労災認定時に認定基準の作業年数に合致する直近の会社しか調べず、その前のばく露歴を調べていないとか、「現場監督」で暴露しているはずなのに、内勤の傍らで大して暴露していないとか、「専ら屋外作業」であり、屋内作業がない、とかいう回答です。

 しかも、下記東京労働局管内の事案では、労災調査の段階で、石綿関連肺がんの場合のばく露作業10年の基準に満たないから、建設アスベスト給付金は10%減額だと、労災調査の担当官が言明。厚生労働省の建設アスベスト給付金の担当官も、それに追随。

 監督署や厚生労働省が一緒になって、建設アスベスト給付金の支給を節約しようとしているのではないか、という疑念があります。

 被災労働者の遺族が、建設アスベスト給付金の審査会に下記のとおり、意見を送りました。

建設アスベスト給付金認定の在り方について

                                 2025年8月8日

特定石綿被害建設業務労働者等認定審査会
 会長 深見 敏正様

                                 請求人 ○○           

 お世話になります。
 東京労働局(監督署の調査を集中)と厚生労働省が一緒になって、労災認定されても、建設アスベスト給付金を不支給にする、あるいは減額するという意地悪をしているように感じます。
 貴審査会の審査方針は「明らかに不合理でない場合には柔軟に事実を認定する」とあります。その方針との乖離があるのではないでしょうか。[下記の6頁]
01_次第
 労災認定の暴露調査と・建設アスベスト給付金の暴露調査は原則同じだと思います。前者は相当因果関係の判定、後者はそれに加えて国の責任の有無ですが、両者の暴露調査の差異はそもそも何でしょうか。よく考えると、石綿健康被害の特殊性に鑑み、何もないのではないでしょうか。
 制度上も、「労災認定情報提供」を前提に組み立てている以上、上記差別を正当化できません。
 石綿労災認定については、下記の大臣答弁があります。
第162回国会 参議院 厚生労働委員会 第31号 平成17年7月19日
○国務大臣(尾辻秀久君) 今お話しいただいておりますように、このアスベストの被害というのは時間が掛かって出てまいります。大変長い時間が掛かっておりますので、その証明に困難なことが多い、そのことはよく理解できます。したがいまして、これを本人の証言のみで業務上とするということは、これは難しいとは思いますけれども、今申し上げたように、長い時間が掛かっておるからその証明に、暴露歴の証明に困難なことが多いということは十分に配慮して今後の対応はしなきゃならぬというふうには思っております。

暴露歴の証明に困難なことが多いということは十分に配慮(2005.7.19参院厚生労働委員会) – アスベスト患者と家族の会 連絡会
第162回国会 参議院 厚生労働委員会 第34号 平成17年8月3日
○国務大臣(尾辻秀久君) まず、労災認定について申し上げたいと存じます。
 私どもも、できるだけ多くの方を労災認定したいと考えております。したがいまして、このたび私どもが取りましたことの一つに、今まではアスベストに暴露されたということが言わば証明されないと労災認定しないということにいたしておりましたけれども、もうそういう作業に従事しておられたということでもってこれは認定の条件にしようというふうにいたしました。
 一つの例として申し上げていることは、できるだけ認定を拡大解釈と言ったらちょっと表現が悪いかもしれませんが、私の言いたいことはお分かりいただけるだろうと思いますので、そういうふうにしたいと思っております。

 なお、与党の公明党は、アスベスト患者と家族の会連絡会のアンケートに対し(2024年10月 質問2)、『2021年には、自民党と公明党で「与党建設アスベスト対策プロジェクトチーム」を設置し、原告団・弁護団の方々からお話をうかがいながら議論を重ね、建設資材のアスベストによる健康被害を救済する「石綿被害建設労働者給付金支給法」を成立させることができました』と回答されています。(連絡会のホームページ・ニュース 2024年10月23日)
総選挙の公開質問書、アスベストに関する切実な要望に対し、各党が回答 – アスベスト患者と家族の会 連絡会
 アスベスト被害救済という立法意思に反する判断は、許されません。
 
本件について
 上記大臣答弁に、本人の証言のみでは暴露を裏付けられないが、暴露歴の証明に困難があることに配慮することになっています。本件では、二人の関係者の証明が提出されています。労災の暴露調査の現場では、一人以上の親族以外の証言を目安にしています。
 監督署による復命書の添付書類「建設業許可申請書」の略歴書に1976-1986年○○会社、1987年以降○○設備事業主とあります。これは2001年の書類で、上記与党建設アスベストPT設置の20年前のものです。これは、到底本人の証言など当事者側の主観的な表現ではなく、一定の客観性を示します(不合理ではない)。
 復命書に「少なくとも雇用保険被保険者記録に記載のある昭和60年11月から昭和61年12月の期間において、石綿ばく露作業に従事していたものと推認する」とあるところ、これがもし建設アスベスト給付金制度ができる前の労災認定なら、上記建設業許可申請略歴書の10年間を石綿関連肺がん暴露の事実としていたと思います。東京労働局があらかじめ、少しでも建設アスベスト給付金を節約するために(10%減額)、このような作為を行ったという疑念があります。東京労働局と厚生労働省が一緒になって、意地悪をしているのではないか、という疑念を世間は抱くのではないでしょうか。
 1985-1986年1年余のみアスベストに暴露して、その前後の期間は一切アスベストに暴露していないと判断するのは、審査方針に照らし(しかも本件は、屋内作業典型の配管設備工・空調設備工)、まさに不合理の極みではないでしょうか。