厚生労働省に、アスベスト労災について要請
連絡会は11月26日、厚生労働省労働基準局に要請しました。近藤昭一衆院議員が設定してくださいました。
1 労災審査請求で、監督署段階と異なる専門医の鑑定を
2014年5月15日、衆院総務委員会における近藤昭一委員の質問に対し、貴省は「審査官が、監督署が意見を依頼した医師と同じ医師に対して、異なる視点から、また補充的に意見を求めるということもあるとは承知しておりますが、いずれにいたしましても、事案の内容に応じまして、当該医師とは異なる専門医からの意見を求めることも含めまして、審査請求事件の公正かつ適正な処理をするために、丁寧な対応に努めてまいりたい」と答弁しました。
石綿関連肺がんの胸膜プラークの画像所見が争点となった事案について、監督署が局医の意見を聞いて不支給に。審査請求の段階で、同じ局医に聞くのではなく「石綿確定診断委員会」にかけるよう要請しました。これは、上記国会答弁を具体化することです。
2 再雇用よりあとのアルバイト期間を算定基礎とする、労災給付基礎日額
2017年6月の厚生労働省通知より前は、定年退職後に再雇用したあとアスベスト疾患を発症した場合、定年前後で継続した労働関係とみなし、再雇用時の賃金を基礎として給付基礎日額を算定しました。
ところが、或る被災者は「正社員→定年後 再雇用嘱託→アルバイト」のあと中皮腫を発症しました。2017年以前の解釈としても、定年前後が継続した雇用関係なので、再雇用の賃金にすべきところ、そうではなく、何とアルバイトの日額約4000円にされてしまいました。
瑕疵(かし)ある決定なので、職権で是正するよう要請しました。
3 建設アスベスト給付金を請求している遺族にも、監督署の復命書を開示してください。
厚生労働省の令和3年12月1日付け基補発1201第1号等「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律に基づく遺族等からの開示請求に係る対応について(周知)」では、建設型アスベスト訴訟を提起している場合、遺族にも復命書を開示するよう改正されました。
建設アスベスト給付金を請求している遺族に対しても、復命書を開示できるよう、上記通達を改正してください。
石綿救済法改正について、近藤議員に陳情
また、下記の項目などについて、近藤議員に陳情しました。
「石綿健康被害救済対策推進協議会」(仮称)の創設
改正石綿救済法の附則には、2027年までの救済法の見直しが規定されます。救済給付の検討を含め、省庁横断の石綿健康被害救済推進協議会を創設して、「すき間がない救済」を進めて下さい。
過労死等防止対策推進協議会は当事者及び公益・労働者代表・使用者代表(ILOの三者原則。ILOの意義について、国会決議あり)の四者から構成されており、厚生労働省関係と環境省関係からなる石綿救済法に係る石綿健康被害救済推進協議会も、そのような四者構成を取って下さい。
国の責任・費用による中皮腫治療研究の推進、早期発見などの健康管理
がん対策基本法第19条第2項に「罹患している者の少ないがん及び治癒が特に困難であるがんに係る研究の促進について必要な配慮がなされるものとする」とあります。また、建設アスベスト給付金法では、アスベスト被害に関する国の責任が認められています。さらに、石綿疾病の早期発見など健康管理の充実が求められます(2006年1月、2月の衆参環境委員会の附帯決議)。
そこで、石綿救済法に、国の責任に基づく中皮腫に係る研究の促進や、周辺住民等のアスベスト暴露者に対する健康管理の規定を追加して下さい。