当事者が制度を勉強して、仲間を救済する。
連絡会は10月4-5日、アスベスト労災など制度の勉強会を開きました。
石綿作業と石綿疾病の因果関係は、ちょっととっつきにくいですが、基本を踏まえれば誰でも理解できます(労災認定基準が割に明瞭で、見通しがいい)。一生に一度しか起きない災害なので、経験した当事者同士助け合えば、救済につなげることができます。
制度の基本は、下記のとおりです。(『社会労働衛生』の「石綿労災読本」などが教科書)
- 手続 (1)請求書の様式
厚生労働省のホームページから印刷できます。直接印刷することになっており、コピーは不可です。
主要様式ダウンロードコーナー(労災保険給付関係主要様式) |厚生労働省 (mhlw.go.jp)
(2) 労 災 保 険 業務上疾病の認定基準及び関連通達集(上)
法律の構造は、「憲法第25条→労基法・労災法→政令→省令(労基法施行規則)→通達(認定基準など)」というものです。石綿労災に関する通達集は、下記319頁以下――労基則別表第1の2 第4号、第7号の石綿疾病 第5号のじん肺(石綿など)
(3) 石綿肺などじん肺の管理区分申請
(4) 労基法の平均賃金、労災法の給付基礎日額
(5) 労働基準監督署が労災の支給・不支給を決定した際の、調査結果復命書
→行政保有個人情報として、開示請求できます。
2 理論
厚生労働省の著作『労災保険 業務災害及び通勤災害認定の理論と実際』
(1) 第1篇第2章 業務上外認定の基本問題 第3節3 業務起因性の性格
最有力条件説が否定され、共働原因・相対的有力原因、原因と結果が経験法則上相当な関係にあること=「相当因果関係」が必要だとされます。
(2) 複数の原因が競合する場合の認定の考え方(第1篇第3章 業務上疾病の認定の基本問題 第3節4)
単一原因による疾病、共働原因による疾病、基礎疾患又は既存疾病の発症又は著明な増悪が業務上、業務従事中に機会原因として発病した場合は業務外とされます。
3 歴史と実例
(1) 石綿関連肺がん 胸膜肥厚斑(プラーク)が鍵です。
(2) 石綿関連肺がん 石綿小体などをめぐる労災裁判で連勝。(衆議院 総務委員会 第21号 平成26年5月15日 近藤昭一委員が質問)
https://kokkai.ndl.go.jp/txt/118604601X02120140515/19
しかし、国・監督署の代理人である検事と、裁判官が一体化しており、労災裁判で被災者側が勝つのは大変なこと。丸本裁判、宇田川裁判の逆転勝訴は意義深い。
なるべく監督署、審査請求の段階で救済してもらうことが大事。厚生労働省とも直接交渉します。
(3)「労働者性」(基発第51号通達問題など)、地方公務員の石綿認定(教職員を含む)、船員、準軍属(学徒動員)についても勉強。