ニュース

意識的に掘り起こさないと、石綿関連肺がんは埋もれる

お知らせ 制度・改善

 毎年12月に、石綿労災認定事業場名が公表されます。

 建設業(第2表)の県別認定数のうち、肺がんと中皮腫の比を見ると結構差があります。

 ヘルシンキ・クライテリアでは、石綿関連肺がんは、中皮腫の2倍発症ということですが、実際の労災認定数は2倍には届かず、1倍(肺がんと中皮腫は同じくらい)どころか、肺がんのほうが少なかったりします。

 2022年度以前労災認定数のうち建設業では、北海道で中皮腫1に対し、肺がんは0.63。宮城0.81、首都圏は肺がんがやや多く、埼玉1.01、千葉1.18、東京1.06、神奈川1.1です。さらに愛知0.4、三重1、京都0.94、大阪0.54、兵庫0.5、岡山1.24、福岡0.51です。一覧を後掲します。

 石綿関連肺がんの労災認定で一番多いケースは、石綿作業かつ胸膜肥厚斑(プラーク)です。

 専門医は、建設労働者の逝去後解剖して、こんなに胸膜肥厚斑があるとは思わなかった、患者さんに教えてもらったといいます。肺がんは意識的に掘り起こさないと埋もれてしまい、タバコのせいにされてしまいます。タバコを吸っていても認定されます! むしろタバコとアスベストが共働して、肺がんになります。

 また、石綿救済法の労災時効救済(特別遺族給付金)では、医学資料がないけれど同僚が認定されている場合(あるいは、同じ構内)、支給されることがあります。

 他方、石綿救済法の救済給付では、一番労災認定が多い「石綿暴露かつ胸膜肥厚斑」だけでは認めず、広範囲の胸膜肥厚斑や石綿小体5000本を要求しており、不当な制度です。

2022年度以前 石綿労災認定数 建設2表

肺がんの比率:肺がん/中皮腫(ヘルシンキ・クライテリアでは、中皮腫の2倍) 右2列は、労災時効救済

 肺がん中皮腫肺がんの比率 肺がん中皮腫
北海道2994770.63 1433
青 森13340.38 13
岩 手8230.35 11
宮 城861060.81 76
秋 田11190.58 00
山 形29291 23
福 島26900.29 29
茨 城19420.45 05
栃 木16151.07 30
群 馬13280.46 31
埼 玉1581561.01 99
千 葉1191011.18 36
東 京8267801.06 4749
神奈川2862611.1 1727
新 潟691030.67 69
富 山52640.81 110
石 川21500.42 04
福 井15300.5 02
山 梨6240.25 11
長 野32590.54 33
岐 阜11540.2 17
静 岡381150.33 38
愛 知962420.4 720
三 重31311 12
滋 賀11260.42 01
京 都78830.94 02
大 阪3025590.54 2443
兵 庫1182380.5 1218
奈 良17180.94 02
和歌山19330.58 01
鳥 取10230.43 01
島 根14210.67 23
岡 山1241001.24 03
広 島1281760.73 109
山 口58770.75 23
徳 島6250.24 22
香 川31370.84 12
愛 媛37680.54 63
高 知8180.44 11
福 岡1382690.51 119
佐 賀7230.3 01
長 崎36800.45 43
熊 本27500.54 13
大 分19400.48 14
宮 崎14240.58 11
鹿児島13550.24 26
沖 縄5180.28 24