労災給付基礎日額の是正に一歩一歩
6月18日、厚生労働省の下記検討会が開かれました。
アスベストなど遅発性疾病に係る保険給付の給付基礎日額の算定の方法について、次のようにまとまりつつあります。
(1)就業期間中に発症したケースでは、発症時の賃金を給付基礎日額の算定根拠とする。
ただし、発症時の賃金が、離職時賃金に満たない場合には、最終ばく露事業場の離職時賃金を給付基礎日額の算定根拠とする。
上記の方向が多数意見ですが、最終ばく露事業場離職時の賃金を最低基準とする必要はない、という意見もあります。
(2)未就業中に発症した場合、最終ばく露事業場の離職時賃金をもとに給付基礎日額を算定する。
第6回の研究会で(5/30)、中野委員が未就労となっているのは定年退職している場合もあれば、現役世代がたまたま失業している場合もあるとし、(2)は上記(1)に含まれるとも指摘しました。
連絡会では、地元の国会議員に陳情して、アスベスト低日額問題に取り組んでいます。

これは、2022年5月、労災低日額の要求を持った片山さんらが、福井の椿原秘書に陳情した時のものです。
次の通り、2023年9月、福井選出の稲田朋美衆院議員とともに厚生労働省と交渉しました。

さらに2024年12月、職業性疾患・疫学リサーチセンターの学習会で、労働政策審議会労働保険部会の田久委員(全建総連労働対策部長)が、厚生労働省の労災日額是正の動きを報告しました。↓田久さん

そして、2025年2月10日、21日の第3回労災保険制度の在り方に関する研究会に先立ち、連絡会の要望を厚生労働省に出しました。
厚生労働省に「労災保険制度の在り方に関する研究会」にかかわる要望(労災給付基礎日額) – アスベスト患者と家族の会 連絡会
発症時の賃金が給付基礎日額の算定根拠となることにより、離職時の20代賃金問題は解決しますが、発症時賃金が最終ばく露事業場の離職時賃金に満たない場合も、最終ばく露の賃金で最低保障される方向です。
まだまだ、要求実現まで、もうひと踏ん張りです。3月にも、四国の当事者が、地元の国会議員に陳情しました。
なお、上記制度の改正が、既決定の当事者に遡及適用されるかどうか?
患者の休業補償の日額については、2025年4月18日の労働保険審査会が、新たな通知で是正することを認める裁決を出しました。遺族補償年金についてはどうなのか、これも未解決の課題です。