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労災本省協議と、じん肺診査ハンドブックの改訂

お知らせ 制度・改善

 3月25日、倉林明子参院議員(厚生労働委員会)の設定で、厚生労働省と話し合いました。

 アスベスト労災の、請求から決定までの調査期間の平均は、7.8か月です。

 最近、本省協議にかかる事案が多い。業務上外や、治療中労災認定されていても、亡くなった原因について本省協議することがあります。

 労働基準監督署には、本省協議の「判断理由」が示されますが、下記専門医らの協議の議事録は監督署に渡されず、監督署の処分なのに、詳細な処分理由を監督署は持たないのです。

石綿に係る疾病の業務上外に関する検討会|厚生労働省

 労災認定を争う裁判になったら、上記議事録は法廷に出されるのですから、今のアスベスト労災本省協議の在り方は問題です(画像所見が認められない高次脳機能障害の本省協議は、本省専門医の意見が監督署に渡されます)。

 建設業でアスベストに暴露した作業者に「喉頭がん」が起きています。2016年に本省協議の専門医が書いた意見では、アスベスト暴露や医学的な所見がハッキリしないとして、業務外になっています。

『じん肺診査ハンドブック』の改訂案では、下記のような問題点が指摘されます。

石綿肺・合併症切り捨ての危険――じん肺診査ハンドブック改訂案 – アスベスト患者と家族の会 連絡会

 2010年の中央環境審議会石綿健康被害救済小委員会で、石綿肺(じん肺)合併続発性気管支炎の患者が「不正受給」しているかのような印象付けに利用される報告をした医師が(下記2016.6.22第2回救済小委員会、古川和子委員資料3頁、11-12頁参照)、ハンドブック改訂案の研究組織にも入っています。

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 また、話し合いでは「胸膜下の曲線陰影」がなければ石綿肺ではないとか、或る病理所見が「特発性(原因不明)の肺線維症」だとか、決めつけてはならないという専門医の報告を渡しました。

 石綿肺や肺がんは誤診や「たばこのせい」とされてしまって埋もれやすく、建設・土建組合と協力している専門医が都市部で建設業の石綿肺を多数掘り起こしています。今後、労働政策審議会じん肺部会で、ハンドブック改訂案の研究者だけでなく、ほかの専門医の意見も聞くことになっていますが、切り捨てを許さない監視が必要です。

労働政策審議会 (安全衛生分科会じん肺部会)|厚生労働省

 なお3/5のじん肺診査部会で、全建総連の田久委員が下記のように発言しています。

○田久委員 1つ目としては、建設業の石綿肺の判断に適した胸部レントゲン写真とCT写真、こういったものは3枚以上だったり、複数業種で示せるような「じん肺診査ハンドブック」の改訂が必要ではないかと考えています。じん肺の標準写真に関しては拙速に決定するのではなく、1年程度、若しくはじん肺の健診や治療、そして診断をしている医師から意見を様々聞いていただき、そういったものを付け加えて決定していく。こういう流れも必要ではないか。少なくとも、25年5月に日本産業衛生学会が開かれるとも聞いていますので、そういった所の意見を聞いてから決定していくことを要望したいというのが、1点目です。
 2点目は、石綿肺を典型とする不整形陰影のCTでの判断が困難で、芦澤先生の研究でも対象から外れた経緯があることからも、建設業の石綿肺の患者が補償を受けにくいような改訂については、削除したり表現を変えたりということが望ましいのではないかと考えています。特に
[じん肺診査ハンドブック改訂案]28ページに、石綿肺の診断において、「HRCTで確認することが肝要である」と書かれている部分がありますが、特に「肝要」という部分が表現として重く捉えられると思いますので、この辺は削徐なり表現の変更を是非していただきたいと思っています。また、同じ28ページに、「特発性肺線維症」から始まって「判断する。」までの文章がありますが、石綿肺と類似の疾患が、あたかもCTできちっと判明できるような表現に受け取られやすい表現になっていると思いますので、この点に関しても、より適切な表現を求めたいと考えています。
 3点目は、89ページにある「じん肺審査におけるCT検査の位置づけ」、管理区分2以上と決定うんぬんという部分ですが、ここの部分でも、続発性気管支炎の合併症の判断にもCTを使用するとの誤解を招くような表現があるのではないかと思っていますので、削除なり表現の変更をしていただきたい。この後、2回ほどハンドブックの議論がされると思いますが、是非、そういったところで議論を深めていただければと思います。