藤井医師が、東日本支部の学習会で講演
11月17日、新小岩わたなべクリニックで東日本支部の会合を行いました。
この間、連絡会では当事者がアスベスト救済制度について勉強していますが、今回はアスベスト疾患の基本について学習しました。藤井先生は、参加者の質問に丁寧に答えてくださいました。
学習とともに、患者・家族・賛助会員・事務局で交流しました。
職業性疾患・疫学リサーチセンターの藤井正實(まさみ)副理事長が、各疾患について解説しました。
・じん肺 粉じんを吸入することによって、肺が硬くなってしまったもの
じん肺のうち、石綿肺は不整型陰影(網状影)が主体になります。
石綿肺は石綿粉じんそのものを見ているわけではなく、免疫反応の亢進による間質の炎症を見ているのです。
・石綿胸水 アスベストばくろ後20年以内で発症する唯一の疾患です。
・びまん性胸膜肥厚 石綿胸水をくり返すことにより、胸水が貯留したままとなった状態
肺の動きが悪く、呼吸困難感が強く、在宅酸素療法の適用になることも多い。
・肺がん 石綿ばくろによって発生する胸膜プラークの存在、肺内石綿小体や石綿繊維数の測定が重要になっています。
喫煙歴も石綿ばくろ歴もない場合を1とした時に、「喫煙歴はなく、石綿ばくろがある」場合には肺がん発症リスクは5.2倍、「喫煙歴も、石綿ばくろ歴もある」場合には肺がん発症リスクが53.9倍になるということです。
・悪性中皮腫 肺を取り囲む胸膜、腹部臓器を囲む腹膜、心臓および大血管の起始部をおおう心膜、精巣鞘膜(しょうまく)にできる、悪性の腫瘍です。
石綿ばくろから発症までの潜伏期間の多くは40年前後と、非常に長い疾患です。低濃度ばくろによる発症もあり得ます。
・胸膜プラーク(胸膜肥厚斑) 過去の石綿ばくろの指標として極めて重要な所見です。
胸膜プラークそれ自身では肺機能障害を伴わず、良性病変です。