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総選挙、各党の回答--アスベスト被害の救済・健康管理と予防について

お知らせ 制度・改善

 連絡会が各党に公開質問書を送り、ご回答をいただきましたので、紹介します。

2026年1月19日

○○党 

 総裁 ○○様

アスベスト患者と家族の会 連絡会

〒660-0802 尼崎市長洲中通1-7-6

共同代表 平地千鶴子

アスベスト被害の救済・健康管理と予防に関する公開質問書(アンケート)

 アスベスト被害救済について、貴党のご尽力に感謝申し上げます。

 私たちは、全国のアスベスト疾病の患者と家族が集まり、その親睦と治療経験の交換、生活環境の改善に努めている団体です。

 来年2027年までに、石綿健康被害救済法の見直しを行うことになっています。

 つきましては、下記の通り質問しますので、ご回答をぜひよろしくお願いいたします。

 なお勝手ではありますが、ご回答は2月2日までにmailでいただければ幸いでございます。

1 アスベスト健康被害の「すき間がない救済」と健康管理のために

 現状としては、同じアスベスト被害なのに格差があるので、救済給付を労災制度のように改善していただきたいこと、本来労災で給付すべきものが救済給付に流れている問題、埋もれがちな肺がんや石綿肺をほりおこすという課題、労災時効救済(特別遺族給付金)について、JR職員遺族は救済されるのに、国鉄職員遺族が救済されないという格差、労災給付基礎日額の是正を患者だけでなく遺族にも遡及適用すべきこと、労働者以外のアスベストばく露に関する健康管理が一部地域に限定されている問題などがあります。

 私どもとしては、省庁横断で、当事者代表+「公益・労働者代表・使用者代表」(ILOの三者原則)という四者からなる、石綿健康被害救済推進協議会を創設して、上記課題を検討していただきたいと考えています。なお、過労死等防止対策推進協議会も、上記四者構成です。

 アスベスト被害の救済と健康管理に関する、貴党の政策をお聞かせください。

自由民主党

「自民党総合政策集2026Jファイル」にて、以下のように記載しておりますので、ご確認いただけましたら幸いです。

https://storage2.jimin.jp/pdf/pamphlet/202601_j-file_pamphlet.pdf

419 公害健康被害対策等の着実な実施

 水俣病問題の解決やアスベスト被害者の救済、アスベストの飛散防止など、公害等による健康被害への対策を着実に進めます。併せて、国内における毒ガス弾などの老朽化化学兵器に関する環境調査や安全確保に向けた取組みも継続して推進します。

日本維新の会

 政府はアスベスト(石綿)による健康被害に対して、各種の救済制度を設けて対応してきました。しかし、個人差を含めた判定や基準設定の難しさ、治療法の研究開発費が十分ではないこと、平等原則との兼ね合いなど、現在も様々な課題が残っています。政府は、石綿健康被害救済法の見直しを検討しています。

 日本維新の会は、アスベスト健康被害問題の救済と健康管理に向けた取り組みや、被害を受けた方が取りこぼされることのない救済の枠組みの構築に向けて、国に対して誠実に向き合うことを強く求めていきます。また、予防については、ご指摘の点を参考にさせていただきます。

 全ての国民が疾病や障害の有無により分け隔てされることなく、相互に人格、個性を尊重し合い、共生する社会の実現に向けて全力を尽くしてまいります。

中道改革連合

 救済給付の療養手当について、生活が困窮する場合の増額や他の類似制度を参考とするなど、すき間のない救済の実現のため、当事者の皆さまの生活実態などを考慮し、現行の石綿健康被害救済制度を必要に応じて見直すとともに、法の運用を柔軟に行うなど、より適切な救済の実現を図っていくことが重要であると考えます。

 アスベスト被害者の属性により救済内容に格差が生じないすき間のない救済を実現するため、縦割り行政を排し、情報公開・情報開示の促進や、患者・家族をはじめとする関係者の参加を確保しながら、関係省庁の連携を強化し、アスベストによる健康被害にあわれた方々の救済対策を総合的に推進します。

国民民主党

 アスベスト被害者の属性により救済内容に格差が生じない隙間のない救済を実現等、残された課題に対応するため、縦割り行政を排し、情報公開、情報開示の促進、患者・家族をはじめとする関係者の皆さんのご意見を踏まえるとともに、関係者の皆さんの参加を確保しながら、アスベスト健康被害の予防対策を含め、アスベスト対策を総合的に推進します。

れいわ新選組

・「救済給付」を定める現行の石綿救済法は、給付金の性格が「見舞金」であるため、原因者負担という補償のための責任規範が不存在であり、使用者の責任を前提とする労災制度と比べて、給付内容に大きな格差があります。現状では、被害者が指定疾病でお亡くなりになった時に一時金として特別遺族弔慰金が支給されますが、遺族年金はありません。

 今後、「責任」に基づいた「補償給付」を実施し、被害者本人の死亡によって破壊された遺族の生活が回復し安定した生活を取り戻せるように遺族年金を創設するなど労災制度に近づけていくべきです。そして、責任に基づいた補償給付を実施している公害健康被害補償法を念頭に、療養手当を拡充すべきです。

・石綿健康被害救済推進協議会の創設について、

 アスベスト被害者の声を聞く石綿健康被害救済推進協議会を創設すべきです。そして、スムーズで横断的な問題解決をはかるため、厚労省だけでなく、環境省、総務省など省庁横断の組織にすべきです。

 協議会はILO の三者原則にとどまらず、構成員に当事者であるアスベスト被害者を加え、当事者の恒常的な参加を認めるべきです。現状でも過労死等防止対策推進協議会(厚労省)、今後の自動車事故被害者救済対策のあり方に関する検討会(国交省)では当事者が審議会を構成しています。れいわ新選組は、高額療養費制度や労働施策総合推進法改正案(通称カスハラ法案)などをめぐり、制度を変更する過程には、利用者や障がい者など当事者の声を聞く機会を設けることを訴えております。

日本共産党

 当事者代表を加えた、省庁横断の協議会創設に賛成です。

 環境省の石綿健康被害救済小委員会では、当事者の代表がたった1人です。委員会の構成からして不公正です。当事者代表に加え、専門家、労働者、使用者の各代表からなる省庁横断の協議会にすることはもちろん、当事者代表を他の代表と同数以上の人数とすることが必要です。

 その上で、すき間がない救済のため、この協議会で、同じアスベスト被害なのに救済範囲に差があることや、労災認定が厳しすぎる問題などを議論すべきです。(2022年6月10日の参議院環境委員会で、日本共産党の山下芳生議員(当時)が、過労死等防止対策推進協議会は、ILOの三者原則に当事者を加え、専門家8人、当事者4人、労働者代表4人、使用者代表4人という委員構成とされていることを示しながら、小委員会も当事者参加を確保した構成とするよう求めています)

社会民主党全国連合

 社民党は、アスベスト被害を「労災・公害として国の責任で全面救済すべき人権問題」と位置づけ、被害者間の格差解消と制度の抜本改善を求めてきました。労災補償と石綿健康被害救済制度の二重構造により生じている給付格差や、国鉄職員遺族が特別遺族給付金の対象外とされている不合理について是正が必要としています。また、肺がんや石綿肺など埋もれがちな被害の掘り起こし、労災給付基礎日額の是正を遺族にも遡及適用すること、労働者以外の曝露被害を含む包括的健康管理の全国実施を求めています。被害当事者の参画を重視し、国の責任で省庁横断的な体制を整える立場です。

 社民党は、アスベスト被害を国の規制不作為によって生じた、国の責任で全面救済すべき人権問題、公害・労災問題と位置づけ、被害者間に格差のない「全面的救済」を一貫して求めてきました。現行の石綿健康被害救済制度と労災補償制度の分断により、給付水準や遺族補償に不合理な差が生じている点を問題視し、労災給付並みの補償への引き上げと制度統合を主張しています。特別遺族給付金の対象から国鉄職員遺族が除外されている問題や、肺がん・石綿肺など埋もれやすい被害の掘り起こし、労災給付基礎日額の是正を遺族にも遡及適用することの必要性も指摘しています。さらに、労働者以外の曝露被害を含めた全国一律の健康管理体制を、当事者参加のもと国の責任で構築すべきとしています。

2 アスベスト健康被害の予防のために

 2020年、大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正によって、建築物等の解体・改修時の石綿についての規制が強化されました。これにより、工事前の石綿調査:事前調査は建築物石綿含有建材調査者が行う等の従前よりも厳格な実施が義務づけられましたが、事前調査には、石綿と石綿含有建材、建築物、調査手法、試料採取等についての独特の知識と技能が必要とされます。現状では、建築物石綿含有建材調査者は、2日間の座学講習受講と修了試験合格で資格が取得できてしまい、更新制度もありません。これでは適切に事前調査を行うことは到底できません。また、この制度を監督する労働基準監督官および都道府県等の大気環境部署の職員も監督するための十分な知識と技能を有しているとは言いがたく、地域によって監督・指導内容に大きな差が生じている状況です。

 以上から次の2点を要望します。

①事前調査を行う者について

 実地研修と口述試験を経ている特定建築物石綿含有建材調査者または、それに匹敵する追加講習を受講し、修了している者に限定すること。

②監督制度について

 都道府県知事または地方労働局長を長とする石綿対策連絡会議を設立し、監督官等の行政官の教育研修を実施し、監督・指導内容の適正化と平準化を図ること。

 上記アスベスト被害予防の要望に関する、貴党の政策をお聞かせください。

自由民主党

 1に同じ。

日本維新の会

 1に同じ。

中道改革連合

 解体作業でのアスベスト飛散防止を徹底するため、2020年の大気汚染防止法および石綿障害予防規則の改正内容を着実に運用し、事前調査の信頼性を向上させるとともに作業基準を厳格に遵守することが求められています。必要に応じて、関係者から意見を伺いながら、特定粉じん排出等作業での大気濃度測定の義務化や、専門的知見を持つ第三者による事前調査・作業完了段階での調査の義務化、特定粉じん排出等作業を行う事業に関する許可制度の導入を検討します。

 また、アスベストの飛散・ばく露防止対策を監督指導する労働基準監督官や自治体職員等の専門知識向上に向けた教育研修をさらに強化し、監督・指導の平準化を図ることで、地域差の解消に努めます。さらに、関係省庁・自治体間の連携を深め、都道府県及び政令市での石綿対策の円滑な推進と監督体制の強化を目指します。

国民民主党 

 1に同じ。

れいわ新選組

① 事前調査を行う者について

 法改正により膨大な数の工事に事前調査が義務付けられ、これに対応するために質より量という考え方で有資格者を急増させることを優先したと考えられます。しかし、2 日間の座学では現場での見落としを防ぐことは困難であり、結果的に不適切な調査による健康被害や工事ストップのリスクを孕んでいることになり、ご指摘の者に限定すべきと考えます。

② 監督制度について

 全国で小規模リフォームを含む膨大な数の工事現場での事前調査が必要となり、ご提案の石綿対策連絡会議を設立し、その監督・指導内容の適正化と平準化を図ることは必要と考えます。

日本共産党

①賛成です。

 工事前の石綿調査、事前調査を行う者は、独特の知識と技能の習得が必要です。十分な実地研修と口述試験を経た者による厳格な調査によって、建築物の解体、改修作業は安全に行われなければなりません。そのために、事前調査を行う有資格者の限定は必要です。

②賛成です。

 労働基準監察官等の行政官による監督、指導の内容が適正に行われるために、知事または地方労働局長からなる石綿対策連絡会議の設置は有益です。

 飛散事故防止を徹底するため解体時の大気濃度測定や第三者による事前調査、完了検査の実施の義務付けなど、より厳格な飛散防止対策の義務化が必要です。特に、建築物の改修、解体工事に向けてアスベストの事前調査が必要な件数は2022年度で約200万件あると推計されますが、届けが出されたのは60万〜70万件にとどまり、無届の違法な工事が多数残されている懸念があります。(2025年5月8日、衆議院厚生労働委員会における日本共産党の田村貴昭議員の質問より)これらの問題が検討される連絡会議とします。

社会民主党全国連合

 社民党は、アスベスト被害の再発防止には規制強化だけでなく、制度の実効性確保が不可欠であると考えます。2020年の法改正後も、建築物石綿含有建材調査者が短期間の座学講習のみで資格取得でき、更新制度もない現状では、適切な事前調査は担保できないと認識しています。そのため、実地研修や厳格な試験を経た専門性の高い調査者に限定する制度への見直しが必要だと考えています。また、監督行政についても、労働基準監督官や自治体職員の専門性不足や地域間格差を問題視し、都道府県や労働局を軸とした連絡会議の設置や体系的な研修を通じ、監督・指導の水準を全国で平準化すべきです。被害予防は国の責任であり、人命最優先の立場から制度運用の強化を求めています。